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よる広域行政を目指すべき」もあるが、これは16.7%にとどまっている。尤も、この回答を細かくみてみると県別では岡山県が最も多く(31.3%)、人口規模では10万以上の自治体で36%が「道州制」の導入を望んでいる。
ところで、県と市町村の間の望ましい関係について問うた問19(1つ選択)は、本調査の目的からすれば最も興味深いものである。ここでは、「その他」をのぞいて「県のもつ権限を積極的に市町村に移譲すべき」、「今以上に県に権限を集め、広域的な視野で市町村を指導すべき」および「国へのパイプ役として市町村のとりまとめに徹すべき」の3つの選択肢が用意された。5県全体でみると、最も多いのが「パイプ役」(43.4%)で、「権限を移譲すべき」(36.0%)、そして「広域的視野で指導」(15.6%)の順となる。
県別でみた場合には、それほど際だった違いはみられないが、市部と郡部に二分した場合、前者の「権限移譲」への積極姿勢が明確に現れる。すなわち、市部においては「権限を移譲すべき」が最も多い(53.7%)のに対して、郡部では「パイプ役」が最多の支持(45.3%)を集めている。「広域的視野で指導」は、郡部で17.5%となっているものの、設問の前段の「県への権限集中」への反感も作用してか、市部ではわずか4.9%にとどまっている。
市部と郡部の間の相違は、自治体の人口規模別にみればより明瞭にあらわれるであろう。人口5万人以上の自治体でみると66.7%が「権限移譲」を支持し、10万人以上になるとこれが80%を越える結果となっている。逆に「パイプ役」は、人口規模が小さくなるにつれて支持が増加し、5千人未満では48.0%にも及んでいる。
さらに、首長の年齢と当選回数でみると、より興味深い結果もでている。「権限移譲」を主張する首長は、70歳代から年齢が低くなるにつれて増加し、逆に「パイプ役」は年齢が高くなるにつれて支持者を増加させている。また、当選回数でみると6回以上をのぞけば「権限移譲」の支持者は、回数が少なくなればなるほど増加し、他方「パイプ役」ではこうしたきれいな分布はみられず、散在している。
(2)町村部と地方分権
ところで、広島県と県町村会は、中国新聞調査にほぼ2年先立つ1994年10月、県内73町村に対して「地方分権等に関するアンケート調査」を実施した。これは、翌95年から着手される県行政システムの見直し作業の一環をなす、権限移譲政策の事前作業という位置づけを持つものであった。その設問は20項目に及ぶが、ここでもまた本稿のテーマに密接に

 

 

 

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